華首の餘芳

明日は豊洲ららぽーとのお香講座があります。

8月9月10月の三回講座で、平城京遷都1300年 都の薫り です。

初回には、薫集類抄にただひとつ掲載されている焼香方に従って作った焼香を焚きます。
極上の沈香の艶めいた薫りが燻りたちます。


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昨日の正午の事、プールに向かう車中、交差点で止まって青信号を確認すると、いつもと違う青信号にどきり!

青信号の背景にくっきり青空が広がって、流れる雲の下を、青の人が軽快に歩いているようかに見えました。


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信号の中の青空が見とれる程美しかったので、それが意図的に操作されているのかと勘違い、道路行政も信号に背景を加えるとは、こったことをするなあ、と一瞬感心してしましたが、すぐに青空がうつっていることに気がついて、一人笑ってしまいました。

そして今日、同じ景色を撮影しようと信号機の下にたちましたが、昨日のような固まりで動いていく雲は写らず、ちょっとがっかり、だけどパチリ。



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子供の夏休み絵日記には必ず登場する、もっとも夏らしい景色のもくもく入道雲がみられる時期は案外短いのだそうです。



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今日の空の雲は峰というほど屹立していませんが、それでも青い空に浮かぶ夏の雲です。
屋上の日差しは強く暑いですが、風が吹き抜けると髪を気持ちよくなびかせます。 
2月の東京マラソンにでるために切った髪を、そよぐ程の長さまで伸ばしたくなりました。



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下記は陶淵明の作ではないとも言われる漢詩ですが、季節の代表的なものとして夏は雲をあげています。 奇峰の部分の訳はいろいろあって、当時は雲が峰から湧き出て夕方また峰に帰るという説もあったとか。



四時歌  陶淵明

春水滿四澤  春の水  四沢(したく)に満ち

夏雲多奇峰  夏の雲  奇峰(きほう)多し


秋月揚明輝  秋の月 明輝(めいき)を揚げ

冬嶺秀孤松  冬の嶺 孤松(こしよう)秀づ

春は水が 四方の沢に満ちる
夏は入道雲が 素晴らしい峰を形づくる
秋は月が 明るく輝いて中天にかかり
冬は嶺に 一本の松の緑が鮮やかだ


ところで、田園に生きることを謳歌した詩人というイメージの強い陶淵明ですが、人間の情念(恋心)を怪しく描いたエロティシズム溢れる作品もあります。


着物の襟となって女性の首の匂いをかいでみたいと願い・・・・

願在衣而為領  願はくは衣にありては領と為り
承華首之餘芳  華首の餘芳を承けん
嗟温良之異氣  嗟 温良の氣を異にすれば
或脱故而服新  或は故きを脱ぎ新式を服る

・・・悲しいことに衣は宵に脱ぎ捨てられ、長い夜を耐え忍ばねばならぬ


願わくば、裳の帯となって、そなたのか細い腰を束ねてみたい

願在裳而為帶  願はくは裳にありては帶となり
束窈窕之纖身  窈窕の纖身を束ねん

願わくば、髪に塗る油となって、そなたの髪をとかしてみたい

願在眉而為黛  願はくは眉にありては黛となり 
隨瞻視以揚  瞻視に隨って以てかに揚らん

願わくば生糸で編んだ履となって、そなたの素足とともに歩んでみたい

願在絲而為履  願はくは絲にありては履となり
附素足以周旋  素足に附きて以て周旋せん



憧れの女性の側に居続けたいという永遠の夢は、儚い夢、

うつろい、たゆたう夢だから、1600年後にもかわらずに、美しく感じるのでしょうか。


そして、


詩はこのように終わります。


意夫人之在茲  意ふに夫人の茲に在りて
託行雲以送懷  行雲に託して以て懷ひを送るならんか
行雲逝而無語  行雲逝いて語無く
時奄冉而就過  時は奄冉として過に就く

もしかしたら、そなたがそこにいて、雲に託して思いを送ってくれるのだろうか、だが雲は去って言葉は届かず、時はたちまちに過ぎ去り行く

  

徒勤思以自悲  徒らに勤しみ思ひて以て自ら悲しみ
終阻山而帶河  終に山に阻まれ河に帶る
迎清風以去累  清風を迎へて以て迎累を去け
寄弱志於歸波  弱志を歸波に寄せん



いたずらに思い煩ったばかりに、そなたとはついに山河に隔てられてしまったようだ、もう思い煩うことはやめて、心中の悩みを風に乗せて吹き払い、惰弱な心を東流する川に流そう

  
尤蔓草之為會  蔓草の會を為すを尤(とが)めて
誦邵南之餘歌  邵南の餘歌を誦ぜん
坦萬慮以存誠  萬慮を坦(うちあ)けて以て誠を存し
憇遙情於八遐  遙情を八遐に憇はしめん


男女の密会をこそこそと求めることはやめ、高らかな歌を歌おう、妄想を打ち明けて清い心に戻り、雑念を吹き飛ばしてしまおう




美しくも艶な妄想の果ての恋は風が遠くに運んでくれることとなり、、

天高く空蒼く風清らかな秋はすぐ、そこに・・・


 

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