乞巧奠 七夕の宴 冷泉家の雅

東京文化会館にて開催された 乞巧奠~七夕の宴を見に行きました。



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東京都美術館で開催中の冷泉家 王朝の歌守展の関連事業として、東京で初めて再現されました。
季節は冬に向かっていますが、館内の涼しげな設えと虫の声、楚々と歩く女性の薄物の透け感に初秋の雰囲気をたっぷり味わいました。

冷泉家では、二星たなはた と乞巧奠の二つの祭事が伝わっています。 二星がいわゆる七夕で、乞巧奠は、技芸の上達を乞う祭であって、中国から伝来し宮中において受けつがれ、盛んに行われたものです。

南庭の星の台座に二本の笹が立てられて、梶の葉、海の幸、五色の糸、五色の布、秋の七草が飾り、楽器と、そして、最前列に二星を映すための角盥が用意されて星の出を待ちます。


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行事は午後日の高いうちに、手向けの蹴鞠から始まります。 冷泉貴美子さんの解説によれば、
蹴鞠はサッカーに似ていると言われるけれど、蹴鞠には勝ち負けがなく、相手が受け取りやすい鞠を蹴り、蹴った鞠が高く美しく弧を描き、長く蹴り続けることが目的だそうで、星祭りに手向ける理由が納得できました。

やがて日没ともに、灯台に火が入れられて、雅楽が奏されます。 火入れのために、深紅の薄物(紗合わせ?)を羽織った王朝風の女性がすすみ出ると、炎の小刻みな揺れとともに時がどんどんのびて行くような感覚を覚えました。。

灯りがともると、雅楽です。
壱越調音取(いちこっちょうねとり) 調音(チューニング)が高度に様式化したもので、笙、篳篥(ひちりき)、龍笛、鞨鼓、琵琶、筝の順に奏されるのが決まりだそうです。平安時代中期には、この様式が定まったとされていて、平安時代の美意識の象徴とされているようです。 琵琶の音色が、身体を揺さぶるように響いてきて、つい、ファンジニの別れのシーンを思いだしてしまいました。 

続いて、華やかな着物をまとった女性七人の登場して、和歌をたかだかと朗詠する披講

続けて当日の参加者が当座の歌会をする流れの座は、白い布を天の川に見立てて対面する男女の歌のやりとりが続き、日頃は文字でしか接する事のない和歌を音と動きで感じる貴重な機会となりました。 


解説をつとめた冷泉貴美子さまのお声と、披講のもっとも重要な役割の読師をなさった 田中タカ子さまのお声が太く艶やかで美しく、会場内をひろく渡り抜け、それぞれの耳にここちよく落ちていきました。数年、数十年にわたる修練と藤原俊成から続く歴史の重みに感じ入りました。 





これより下は、乞巧奠について

梶の葉

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下記は、大宮八幡神社の乞巧奠のお供えの写真です。


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乞巧奠(きっこうでん、きこうでん)とは、(女子が手芸に巧みに成ることを祈る祭事の意)旧暦7月7日の夜、供え物をして牽牛・織女星を祀る行事です。
玄宗皇帝が751年灑山の華清宮へ楊貴妃と遊宴したときに行った乞巧奠が、 宮中行事でのはしりと云われ、日本では 乞巧奠が初めて行われたのが、宮中「清涼殿」の庭で、755年 天平勝宝7年7月7日孝謙天皇ー聖武天皇の娘の時でした。

棚機・七夕(たなばた)は中国伝来の乞巧奠の風習と、日本の神を待つ「棚機津女」の信仰とが習合したものといわれ、宮中行事として奈良時代に始まり、江戸時代には民間にも広がり、庭前に供物をし、葉竹を立て、五色の短冊に歌や字を書いて飾り付け、書道や裁縫の上達を祈る年中行事となりました。



締めくくりに、とても嬉しかったサプライズです。

観覧途中、不意に拍手がおこり、二階席、三階席の方々が立ち上がったので、びっくりして後ろを振り向くと、天皇皇后両陛下が和歌の朗詠をご覧にならるために入場なさったのです。一階席の方々もほぼ全員たちあがり、上を見上げて大拍手、お手を振られる表情が穏やかに感じられるのは、紀宮清子さまと、黒田慶樹さんが同行なさっていたせいかもしれません。
王朝絵巻さながらの雅な歌の世界も、天皇皇后両陛下の手を振る姿を前に影が薄くなりました。
昨夜の番組で、宮中茶会に呼ばれた北野武さんが、陛下を前にして同じような印象をお持ちになったそうです。 


乞巧奠 七夕の宴を観賞後、両陛下は、嫁いだ紀宮さまと久しぶりの家族晩餐をもられたかしら? 
と、季節外れの七夕の夜、そんなことを思いめぐらせて、温かな気持ちになりました。




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http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY200911140256.html



乞巧奠では、行事の初めから翌日の明け方迄、一晩中お香が薫かれつづけるのが本来の姿ですが、お供え飾りに香炉の形はあるものの、お香が薫かれているのは見た事がありません。 
毎年変わらない七夕の夜の願いの一つとして、香炉をお供えするだけでなく、乞巧奠に相応しい薫物を作って焚いて漂わせてみたいです。
扇にのせた男女の想いが綴られた三十一文字がお香の香りに重なり空に流れゆく、、、
想像の世界は芳香をともなって美しくひろがります。





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