佳日の匂い

十一月の扉が開いた日は風も日も強い一日となりました。


週明けの講座は、訶梨勒たたみ蝉袋仕立てです。 唐蝶結びとトンボ玉をつけて、袋に通しました。




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袋には、上から二重叶結び、総角結び、細結び、が結ばれて、その先は解いて房になります。



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蝉袋に結ばれる花結びは、中国伝来の結びをアレンジした日本独特の結びです。
古代人は結びで所有権を示し、目印や合図として使っていました。

所有権を示す例として開催中の正倉院展の開封の儀に解かれる勅封結びがあります。
扉をみだりに開封できないように扉の錠に鍵をかけた上に麻紐をたすきがけに結び、その結び目に天皇が自署した封紙をつけたものです。 
開封の儀は、それを解くこと、正倉院展が終了すると閉封の儀にて再度勅封結びがなされます。 
この勅封結びのおかげで、聖武天皇の遺品は1250年守られ、今年も開封期間中に宝物を見ることができます。

鎌倉時代以降の武家社会においては、武士の象徴でもある兜の後部の飾りとして使われ、弓馬、武具関係などの飾りにも多く用いられるようになりました。 
一方、志野流香道の始祖の志野宗信は、女性の教養のひとっつであった花結びを、香道の月々の結びとして取り入れられ、現在に至ります。



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装飾結びの代表、総角結びは平安時代、調度品の装飾、衣服の紐飾りなどの日用品にさかんに用いられ、源氏物語には、宇治十帖、薫が大君への気持ちを総角結びに託して詠んでいます。

総角に長き契りを結びこめ おなじ所によりもあはなむ

 意訳 紐が縒りあふ総角結びのやうに、あなたと寄りそつて過ごしたい

古代の総角結びは少年の髪型のひとつで、死者の霊魂から児童をまもる邪払いの願いをこめた結びでしたが、平安時代には、しっかりと寄り合あわせて結ばれ解けにくいことから、愛情を伝えるための結びへとしても使われたのかもしれません。 

花結びをしていると、いにしえの人がこめた想いが指先に感じらます。

下記は、太いロープで結んだ教室の見本です。 結び目が、しっかり寄り合わさって、薫が愛しい人への想いを託した気持ちが分かります。

総角結びを英語にすると  True lovers knot



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講座用の蝉袋のひとつひとつを丁寧に袋に入れました。
 
ふと、芳香が・・・・ なに?何処から?と見回しても、、香料の入っていない蝉袋から匂いがするはずもなく・・・

そう・・秋の佳日の匂い・・かも・・と空を眺めて笑みが溢れました。
 
と、支度をどんどんすすめて、講座に使う資料も納めて、一段落すると、書類の下から赤い箱が・・・
清涼感ある仄かな匂いは塗香の箱からでていました。 

塗香は清め香です。 

11月の扉をあけた、佳日の匂いは清めの香りです。 





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