乳鉢の小宇宙は芳香の渦

夜ひらく白粉花の芳香に足をとめる季節となりました。

練香体験会のために、試作品を二つ作りました。

一つはインドネシア産の最高級の沈香、極上泥沈と中泥沈みに、べトナムの並シャムを合わせたものを主原料に甘くなりすぎないように白檀は控えめにしました。

もう一つは、根木白檀と言って、白檀の根っこの部分を粉末にしたもので、サンタノール成分が高いため単品で焚いてみると、それだけで華やかな香水の香りのような迫力があります。 
清涼感と軽い苦みがシャープな雰囲気を醸し出しているので、それをこわさず、甘めにしました。

原料を良いものを使ったので、それを活かすような調合に苦心しましたが、今日は二つとも思い通りの香りになり、ほっとしています。

さて、二つの練香に銘をつけようとあれこれ考えました。
茶道向けの方々への練香なので、炉開きや、初釜でも十分に使える香りになっています。 
ですが、今の季節を考えると、、、と名付けの悩みはいつも楽しい時間です。
皆さんには、テーマを決めて、それに沿った匂い作りをして頂くつもりです。
どのような香り作りを目指してくださるのか、それも大きな楽しみです。



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写真は、香原料を混ぜているところです。 押さえつけず、擦りおこすように、時計回りで一方方向に混ぜます。


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麝香をお酒で溶いたものです。 香りをまろやかにまとめて、仕上がりは艶になります。 古典調合では、かなりの量が入っていますが、不老長寿の妙薬としての効果を期待していたのではないかとおもいます。 東大寺由来の気付薬の奇応丸は、沈香と麝香が主原料です。

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白い香料は龍脳を入れているところです。 蜂蜜で固めるので香りが重くなります。 香り立ちをよくするためにトップノートとして融点の低い龍脳を入れます。 
龍脳は楊貴妃が好んだ香料として有名です。


 
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調合の最終は、試し焚きをします。 
その香りがイメージした香りになっている事を確認して、香料をまとめるために、蜂蜜を入れます。
下記が、蜂蜜をいれたところです。 しっとりとした感じになったら、丸めます。
蜂蜜は入れすぎると甘い香りになってしまうので、極力控えめにするのがコツです。


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丸めて出来上がりです。 常温の香りは、丁子や桂皮の香りがして、正露丸にちょっと近いです。
1300年前、鑑真和上が持ち込んだ香料の伝来当初は、すべてが薬でしたので、薬くさいのも
致し方ありません。
夏場なので、冷蔵庫の野菜室に入れて熟成して、最低10日、できれば3ケ月すると、麝香の動物臭が消えて、まろやかな艶なる香りになる、、はずです。 

作り終えて、手を洗った後も指先に甘い香りが漂っています。 


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